2002年11月14日(木)
朝面会に行くと、酸素室に入っているおかげでボゥイーは呼吸も少し楽になったようで、
気持ち良さそうにしていました。寂しがるといけないので、いつも使っている枕と私のTシャツを持っていきました。
なでてやると、顔を起こしてごそごそ動きます。
「おかあちゃんやよ、分かる?」
動いたらまた興奮して、呼吸が早くなってしまいます。
「あかん、あかん、寝ときって・・・」 尿はやはり出ないし、ずっと点滴をしている割には
溜まる量も少ないようです。腎臓の機能が低下してきているようです。 点滴もあまり早いとボゥイーの身体に負担がかかるので、
ゆっくりゆっくりです。 酸素のチューブ(これは酸素室に通してあるだけ)と 点滴・導尿のチューブがつながった姿が 昔見た、
鉄腕アトムの誕生のシーンのように見えました。
「ボゥイー、ロボットみたいやねぇ・・・」
ロボットのように燃料を入れて、また始動! なんて事になってくれないか?という思いがしました。
「また夜来るからね・・・」と、いったん家へ帰りました。
夜再び面会に行きました。
あまり様子は変わらずにボゥイーは寝ていました。 午後に撮ったレントゲンで、肺の方はきれいになってきていました。
肺炎の方はちょっと一安心のようです。 ただやはり尿が溜まらない・・・ 今度は急性腎不全を起こしかけているのかもしれないという事です。
そのせいか、心臓が少し肥大してきているようです。 やはり年齢のせいでしょうか、抵抗力が落ちているので
一つ治まると又次と悪いところが出てきます。 なんだかモグラたたきのようだなぁ・・・
今夜は1時間に1度くらい利尿剤を入れて様子を見ると先生が説明して下さいました。
歳が歳なので治療内容も限られてしまいます。
「だからと言って、諦めませんから!」先生が力強くおっしゃいました。
「ボゥイー、しんどいやろうけど頑張ってな」声をかけてなでてやると また顔を上げて、ごそごそ動きます。
後から思うとその頃はもうかなり意識が朦朧としていたはずなのに、 顔を上げたり、もぞもぞ動いたりしたのは、
私を分かってくれたのかな? と思うのは、やはり親ばかなんでしょうね・・・
ずっと見ていてもきりが無いので、診療時間が終わったので帰る事にしました。
「また明日の朝来るからね・・・」
帰ってきてから友達から電話があり、話していると、携帯電話が鳴りました。 あわてて友達との電話を切り電話を見ると、動物病院からの着信。
夜11時過ぎ・・・まさか? と思いながら電話にでました。
「すぐに来て下さい。でも、間に合わないかもしれません・・・」
「えっ!!!?????」一瞬、何なのか理解できませんでした。言葉が出ませんでした。 あわてて車を走らせました。赤信号がもどかしく、イライラしました。
病院に着くと、ボゥイーは診察台の上で静かに眠っていました。
「11時20分でした・・・」先生がおっしゃいました。
「苦しみましたか?」
「全然、静かでしたよ。あっという間だったから」
良かった、あんなにしんどい思いをしていたから、苦しまずに逝ったというのは ボゥイーの為に本当に良かった・・・
「・・・大往生ですよね・・・」
「そうやね、それに18歳やったんやから、ボゥイーよう頑張ったよ」
「ボゥイー、お家に帰ろうね。みかえるも待ってるよ・・・」
そっと抱き上げたボゥイーは、まだ温かくて死んでいるのが嘘のようでした。 家へ帰ってきて、カドラ−ベッドに寝かせました。
普段寝ている様子と全く変わりません。 なでているうちに又顔を上げて、いつものように私を呼びそうです。
みかえるも何かを感じるのか、ボゥイーのそばに寄り添っています。 そういえば昨日(水曜)も、ベッドで寝ているボゥイーの側で寝ていたなぁ・・・
目まぐるしかった昨日から今日の出来事が、まるで夢のように思えながら、ボゥイーを撫で続けていました。